散策中に、少し先を歩いていた女房が「紫色の綺麗なチョウよ!」と声を上げたので、慌てて駆けつけました。飛ぶときは翅の表が青紫色に美しく輝くムラサキシジミですが、翅を閉じて止まった地味な写真しか撮れませんでした。長いことカメラに収めたいと願いながら、滅多に止まらないため失敗続きだったアオスジアゲハとキアゲハの姿を遂に捉えることができました。アカボシゴマダラが群舞している林を見つけました。交尾寸前の彼らを写真に収めることができました。ツマグロヒョウモン、ミンミンゼミ、アブラゼミも撮れました。ミンミンゼミやアブラゼミの幼虫たちが出てきた穴がたくさん開いています。因みに、本日の歩数は17,972でした。, 閑話休題、かつて、私たちにとってソニーは世界に対し胸を張って自慢できる燦然と輝く企業でした。そのソニーに「リストラ部屋」、「追い出し部屋」が存在したということだけでもショックなのに、『奪われざるもの――SONY「リストラ部屋」で見た夢』(清武英利著、講談社+α文庫)では、その凄惨な実態が生々しくリポートされているではありませんか。しかも、リストラ部屋を経験した元社員たちが実名で証言しているのです。読み進むにつれ、彼らの辛い胸中が我がことのように感じられて、胸が詰まりました。, 「ソニーのキャリア開発室の源流をたどると、中高年社員対策として1985年にスタートした『能力開発センター』に行き着く。当時の言葉で言えば、『窓際族』対策である。職場で持て余し気味の中高年――人事担当者は『職場にフィットしない人々』と表現するが――そんな社員を集め、雑用を与えながら転職支援を行っていた」。「キャリア開発室に通う面々は会社から早々に出ていくことを期待されていたから、その部屋は社員から『追い出し部屋』と呼ばれていた。一方、追い出される側の中には、『ガス室』と呼ぶ面々もいる。サラリーマンの命である仕事を奪い、もとの職場には生きて帰れないからだ。新たな仕事は与えられずそこに一日中、閉じ込められている」。, 「上司とそりの合わない者や『とんがった』エンジニアなどはしばしば人員削減のリスト候補に挙げられる。能力の劣る社員だけがリストラの対象になるわけではないのだ」。「新しい世の中や画期的な発明、発見はたいてい異端者によってもたらされてきた。日本企業のなかで異端の才能を最も評価していたのは、かつてのソニーであった。その異端者たちがリストラ部屋に収容されるところにその後のソニーの不幸があった」。, 「当然のことのように名刺は用意されていなかった。遠からず会社を辞めてもらうのだから、もう必要ないというのだろう。・・・物音ひとつ聞こえない不思議なフロアだった。・・・部屋に入ると5人掛けの長い机がズラリと並んでいる。その机の上を低いパーティションを置いて仕切っていた。その後、人数が一時約150人にまで増えると、とうとうパーティションの数を増やして6人掛けにしたという。満員だったのである。・・・『ソニーリストラ村』の住人はもちろんベテラン社員が多い。50歳代がざっと半分で、続いて40歳代、30歳代も1割近くいたようだった。実態が正確につかめないのは、情報交換の仕組みがない部署だからだ。『あんたたちは、就職するところを早く決めて、とっとと出ていきなさい』という部屋なので、仕事もミーティングもなければ、連帯感もない。人事の庶務担当者から来るのも、最低限度の伝達事項とか、『戸締まりができていなかったから気を付けてください』といった程度の連絡で、それもほとんど電子メールでの伝達だった。・・・部屋には、不安とわずかな希望、焦燥が濃密に満ち、それを見守る人事部側には同情と倦怠の色がある。・・・リストラ部屋に在籍した社員はのべ数千人に上る。それだけの人々が無能ぞろいだったわけがない。部下の個性と能力を知り、その業(わざ)を生かすのが管理職や会社の仕事だ。リストラ部屋行きを通告することで、その務め自体を放棄しているのだ」。, 「帰りたくてもこんな早い時間には自宅に帰りづらいのだ。もしかすると、この部屋に配転されたこと自体が内緒なのではないか。彼らはこの部屋に集められ、押し込められている。それでも家族やご近所には『世界のソニー』で忙しく働く社員のはずだから」。「そこは妙に暗い部屋だった。200人ほどの中年社員たちが新聞や本、パソコンを前にぼんやりと机に向かっていた。まるで図書館にいるような静かさが覆っている」。, 続々とリストラ部屋に追い込まれる人々がいる一方で、業績不振にも拘わらず超高額な報酬を手にした経営者たちがいたことに怒りを禁じ得ません。その後のソニーの凋落ぶりを見て、企業の命運はトップの志と力量に左右されるということを改めて痛感させられました。, 「大賀(典雄)は『エンジニアでなければ』という盛田(昭夫)の意思を知っていたはずだ。だが、彼が次の社長に指名したのは、意外にも『カンパニーエコノミスト』を志して入社した出井(伸之)であった。ここがソニーのターニング・ポイントである」。「盛田の出井に対する評価は必ずしも高いものではなかった、という証言もある。盛田に近い元役員が言う。『出井さんが社長に抜擢されるとき、盛田さんは既に倒れて療養中でした。残念ながら思考能力はなかったはずです。出井さんを選んだのはあくまで大賀さんの独断でしょう。大賀さんは数人の社長候補リストのなかから、燦々と輝く人物と見込んで、出井さんを選んだのですが、後々、<あの指名は僕の大失敗だった>と悔やみ、泣かれていました』」。, 「『(ハワード・)ストリンガーは米国の放送局CBSに30年間勤めたジャーナリストで、電子機器などハード関連の技術に詳しくない』と指摘する。つまり、出井がソニー米国法人の社長としてリクルートした子飼いに過ぎないではないか、というわけだ。そんな人間がソニーでどんな仕事をしてきたのか、と大曾根は問いかける」。「ストリンガーが絶対権力を手中にして、平井一夫ら『四銃士』と呼ばれる側近役員を周りに配置した日である。その人事はソニーをさらに混迷へと導く」。, 現在、「Morita Akio」と名乗り、ツイッター上で痛烈なソニー経営陣批判を続けている正体不明の人物に、会社側が神経を苛立たせているというのです。「法務・広報部門がこの一連のツイートに神経を尖らせる理由は、第6代社長・出井伸之からストリンガー、そして平井一夫と続く『リストラ型』経営陣の方針を真っ向から否定していることである」。「『会社の危機』を叫びながら、凋落の責任者であるストリンガーに巨額の退職金や報酬が支払われ、その全容はいまだに明らかにされていない。後継の平井一夫もドル建てで報酬を受け取り、本宅を米国に置いているため、日本の居住費などは会社負担と言われているが、会社は公表を避けている。そうしたことへの疑問がMorita Akioを生み、同志を集めさせ、2016年に入っても社員たちに情報リークを促し続けている」。, 私は以前は熱烈なソニー・ファンでしたが、今やソニー製品を購入する気が失せてしまいました。, 戻る  |  ※年間定期購読のお申し込みはこちら. PC・TV事業変革 といった名称で、ほとんど切らすことなく常に何かしらかの「構造改革プログラム」が走っている状態だそうです。それぞれのプログラムで数千人~2万人くらいまでの「 … 「情熱的読書人間のないしょ話」一覧 リアルさがほとんどない記事でした。まず40代転職ならエージェントとの関係構築が一番。そこで好感をもたれないと、転職先の紹介もおぼつかない。まあ今どきは「売り手市場」なのでしょうが…面接先がポンポンくるのは、元の会社のカンバンゆえでしょうか。だとすると書き込みが足りない。第二に、自分の経験から、転職先の「雰囲気」「空気」というものが重要でした。面接を受け、その会社の社内の風をざっと感じて、「こりゃーダメだ、自分には無理だ…」と何度も思いました。そういうところはしっかり落とされました(笑)。相思相愛までいけなくても、呼吸できるかどうかというのが、企業社会の無常と絶望をなめ、また適応力が減退した中高年(笑)には大事だと思います。第三に、転職先が未経験分野でも、熱意とやる気を見せれば採用はされます。たとえば私は中小企業診断士試験、一次は合格してるぞーみたいなアピールです。問題は転職先で生き残れるか?その努力と工夫こそ、真のポイントだと思います。私は自分の欠点を潰す努力がたいへんだった…^^;; 私も43歳中高年という言葉にショック。35まで転職エージントに登録しては引く手数多であることを確認して安心していたがだったが中高年となった今、今となっては自分の需要を確かめる勇気も気力もない。多分年収1000万だがもらいすぎなんだろうか。, 44歳でのリストラ・・・再就職で年収減・・・その時点まで、自らを過大評価して能力に見合う仕事をしていなかったからリストラに遭った。再就職先でも、プライドと客観的な自分の能力の差に悶々とする他責にしているようにしか見えない、それが原因・・・これに尽きるのでは?, この記事の人は収入が下がったものの、転職できて幸せだ。20年くらい前になるが、私は30代半ばで銀行をリストラにあった。当時、30代でも仕事はなく、3ヶ月で50社くらい応募して面接まで行けたのは3社、そしてどこからも採用されなかった。その後は何か月もハローワークに通い詰めたが全く求人はなく、生活もやけっぱちになって貯金もしばらくして底をつき、ホームレス寸前まで行った。3年ほどして運よく今の会社に中途採用されて、給料は非常に安いがなんとか生きてはいける。こんなことになったのは、自己責任だと友人からは叱責された。たしかにその通りかもしれないが、やはり日本の社会は一度レールを外れると、元に戻るのは絶望的な世界だなと思う。この国では誰もリスクを取りたがらないのはしかたがないことではないか。, あっさり内定が決まると、もっといい条件の求人があると思って辞退はあるあるですね。まさに自分がそうです。肝に銘じなくては。, IT業界は今は好景気で慢性的な人手不足ですから40代なんて全然イケると思います。それに人生100年時代、70-80才まで働くこともありうる(?)時代になっていくわけですから、一度人生や仕事の棚卸しをして軌道修正する機会だと前向きに捉えれば、決して悪くないと思いました。, 私は6年前、52歳で転職活動をしました。ハローワークや地元自治体の中高年雇用促進センター等からスタートしましたので、いやというほど中高年の転職の現実を見せつけられました。私の場合は年収も半減も覚悟して活動しました。運良く地方の中堅企業の役員として再就職できました。これから中高年で転職活動される方には、地方での就職もひとつの選択肢にすることをお勧めしたいです。, 15年前やはりリストラで転職しました。記事のモデルは稀有なくらい成功例でしょう。40歳以下の後輩は引く手あまただったけど、当時私は43歳でしたから面接までたどり着くのが2割、半年後に決まった先の年収は半減でした。転職のノウハウが書かれてますが、今更感の内容で書店のマニュアル本のコピーでしょうか?今は人財難のおかげか15年前の私の頃より楽なのでしょうかね。 今同年代で転職活動している方には、今の会社の常識は否常識と考えないと転職後苦労しますよ。, くじ引きで当たる確率は、先に引いても後に引いても同じ、というのと同じように、先に内定もらったところよりも良いところが後にあるとは限らない、ということで。, 求職者の評価が600万だった事を考えると、自分の価値が上がらない会社にいた不幸を感じます。長年お過ごしになった会社が、どんな所だったのか気になります。, 一時的にギアをシフトダウンすることは致し方ないでしょう。転職先での実績がないわけですから。でも、その実質的な補填のために前の会社で2年分の補償金があったのは恵まれていると思いますし、転職先で実績を上げれば報酬アップも望めるはずです。逆にまだその年齢で転職経験をしたことは自分の能力の棚卸しとさらなるスキルアップができて良かったかもしれません。一つの企業で出世しても、いざという時何も役に立たない名ばかり経営者が世の中にはゴロゴロしていますからね。, 40歳代以降のリストラ&転職 はよくある話で、どれくらい参考になるかと期待したが、まぁまず、日経系はこの辺りのレイヤーを相手にしてますよ、というマウンティングを感じますね。年収1000万の人間が、この世の終わりのような感じの悲壮感で語っていますが、ひ弱な印象を受けます。これでもずいぶんと恵まれて、大成功しているほうです。まぁ、きちんと活動をしていることはわかりましたが。架空の人物かと思いますが、年収1000万の人間の転職話なんて、全体からすればどこの国の話?てな感じです。私のように、45歳650万から2回転職した(年収はもちろん減)人間の方が、中高年の転職に関してはリアルに書けると思います。とはいえ、記事には良いことも書いてあり、同世代の転職ブログを読んだり、自分で書いたりして励みにした、とか、なかなかリアルで、わかります。また、管理職でゴールするするつもりだったので、手を動かすのが疎かになっていた、など、なるほどと思わせます。いずれにせよ、これで「笑えない」「悲惨」とか云ってたら、一般の人はどうなっちゃうんでしょう(笑)この記事の狙いに悪意を感じます。, こういった記事の反応は、「明日は我が身」みたいなものが多いのでしょうが、本当の実力が650万なのに1000万もらっていて、更に退職金2000万円の不合理には焦点が合わないですよね…, 会社の管理職とは、時間をかけて自分を無能にしていく代償に給料をもらっているのではと思うことがあります。, 日経ビジネス電子版のコメント機能やフォロー機能はリゾームによって提供されています。. その後のソニー「追い出し部屋」 地獄の「リストラ要員」飛ばし. 面接で心がけたのは、退職理由をポジティブに伝えることだ。「きっかけはリストラですが、ネガティブな転職という印象を与えないように、多少の創作を交えてでもやる気があることをアピールした方がよい、とノウハウ本に書いてあった。 確かにそうだ、と納得し、実践しました」。「 社� ソニーの離職率、勤続年数、リストラ情報など、企業にとってはあまり開示したくないけれど、就職転職希望者が知りたい情報をまとめました。筆者はブラック企業で経験を積んだ後、大手企業の内定を何度も獲得。幸せに働ける会社を見つけるヒントを提供。 会社側は大リストラ終了を宣言したが、実際は「長期滞留者」を子会社に移し替えただけ。銀行の不良債権飛ばしとよく似た、非情なリストラ要員の飛ばしだ。 2015年6月号 business Copyright © 2020 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved. ソニーとか松下とか一流企業をリストラされても再就職って簡単なんですか? ソニーとか松下とか一流企業をリストラされても再就職って簡単なんですか?一流というブランドがあるんで再就職は簡単だと聞きましたがどうなんですか? IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。, FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービスです。年間定期購読をご契約の方は無料でご利用いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※ご利用いただけるサービスは購読コースにより異なります。詳しくはこちらをご覧ください)。, ※IDを忘れた方はこちら ※パスワードを忘れた方はこちら 発行所:ファクタ出版株式会社Copyright © 2017 Facta Publishing Ltd. All Rights Reserved. その後は何か月もハローワークに通い詰めたが全く求人はなく、生活もやけっぱちになって貯金もしばらくして底をつき、ホームレス寸前まで行った。 3年ほどして運よく今の会社に中途採用されて、給料は非常に安いがなんとか生きてはいける。 ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books). 募集に ………, オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。 トップページ, (1)メール・アドレスを記入し、「購読」ボタンをクリックしてください。(2)届いたメールの「フォローを確認」をクリックしてくださると、登録完了です。, 「戦場のピアニスト」の命を救ったドイツ軍将校はどういう人物で、その後、どうなったのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1616)】, 私の尊敬するリンカンが、黒人奴隷解放に積極的ではなかったとは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1931)】, 北九州監禁連続殺人事件の犯人・松永太は、史上最悪・最低の人間だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1345)】, ウイグル人の手になる唯一のウイグルの歴史書・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1880)】, 「死の天使」と呼ばれたナチスの医師、ヨーゼフ・メンゲレの逃避行・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1421)】, カンボジアにおける貧困が人身売買を生み出す構造・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1308)】. 改訂2版 データサイエンティスト養成読本 [プロになるためのデータ分析力が身につく! ] パスワードを忘れた方はこちら, オンライン会員の登録がまだお済みでない方はこちら, 年間定期購読のお申し込みはこちら. リストラ部屋にも誇りはある! Copyright © 2017 Facta Publishing Ltd. All Rights Reserved. 経営者たちは何をしていたのでしょうか? その机の上を低いパーティションを置いて仕切っていた。その後、人数が一時約150人にまで増えると、とうとうパーティションの数を増やして6人掛けにしたという。満員だったのである。・・・『ソニーリストラ村』の住人はもちろんベテラン社員が多い。 ──はじめに、清武さんが「ソニー」というテーマに関心を持ったきっかけを教えてください。, 清武:僕は、もともとソニーに多くの友人がいたのですが、彼らがあるときから次々と辞めていったんです。ただ、辞めたにもかかわらず比較的満足している人が多かった。それが不思議で、順番に話を聞いていこうと思ったのがきっかけですね。, ──本書では、「リストラ部屋の住人」をはじめ、一般的には無名のソニー社員が数多く登場します。, 僕は取材において「後列の人間」を描きたいと思っているんです。企業で言えば、経営層などの「最前列」ではなく、役職についていない「後列」の人間にスポットを当てたいという気持ちを持っていました。社長よりは社長になれなかった人、社長になれなかった人よりは社長の不正を追及して恵まれなかった人に興味があるわけです。, 彼らの中には、一般的には目立たないけれど、心の中に強い芯を持っている人がいます。その思いを描きたい。それは取材者としての、自分の使命だと思っています。今回は、出井(伸之)さんにもインタビューしていますが、課長以下の人に数多く取材をしています。, 取材において、役員に当たるのはさほど難しくないのですが、後列の人は大変です。そもそも、対象者を探すこと自体が難しい。とりわけ、今回の場合はソニーからリストラされて散り散りになっていますから。さらに、物語性のある人となると、なおさらですよね。, 僕は、トップの人間も、まったく無名の人の人生も、同じように魅力的だと思っているし、実際そうなんだと思いますよ。ただ、本や新聞では、そういう人をなかなか取り上げにくい。, 僕は読売新聞の中部本社(現・中部支社)社会部長時代に、「幸せの新聞」という連載をつくったことがあります。新聞は不幸なニュースの塊。特に、社会面で幸せなニュースを伝えることは少ないですよね。そこで毎週、社会面の1ページを幸せなニュースで埋め尽くすという企画にしたんです。, そこに登場するのは、無名の人たちです。でも、取材を進めていくと、面白い人やストーリーが山のようにあることがわかる。崖っぷちから再起を果たした物語などがたくさんあります。人間は転んだままではなく、必ず立ち上がる。転んだ数だけ再起のドラマがあるんです。, それを、ソニーの「リストラ部屋」というくくりで集めたのが、本書です。つまり、「リストラがひどい」という側面だけではありません。なぜ自分はソニーという会社を愛し、信じていたのに辞めなければいけないのか、これからどう生きていくべきなのか──。その思いがドラマになっていくんです。, 中には、リストラ部屋に自ら志願した人も登場します。最初は本当かなと思いましたけれど、話を聞くとなるほどなと思いました。彼は、リストラを逆手に取って次の人生を歩もうとします。自分の頭で想像していた以上の事柄に出会い、驚きましたね。, この話は勧善懲悪で収まりません。本書でもリストラする側である人事部の女性が出てきますが、非常に大きなストレスに苦しむわけですよね。話としては、なかなか表に出てきませんが、それは喋らないだけのことです。こうした話をきちんと取材して書きたいと思いました。たとえば、彼女には20時間以上にわたって話を聞いています。, ──本書は、2013年から開始した『FACTA』での連載がもとになっています。連載が始まると、ソニーの社員、元社員から「私も語りたい」というメッセージが数多く届いたそうですが、各人の思いはどこにあったのでしょうか。, 知ってもらいたいんだと思います。リストラ部屋の実態と言っても、一面的に語られることが多いですから。暗い部屋、無能の烙印(らくいん)を押された可哀そうな人たち、会社はけしからん、そういう結論で終わるわけですよね。, でも、それだけでは実際に一人ひとりが抱えた苦しみを、救いきれていない。奥さんとの会話はどうだったのか、家庭の雰囲気はどうだったのか、そういう具体的な話を伝えたいんだと思います。, 清武英利(きよたけ・ひでとし)1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、1975年に読売新聞社に入社。青森支局を振り出しに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より、読売巨人軍球団代表兼編成本部長。2011年11月18日、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、係争中。現在はジャーナリストとして活動。著書『しんがり 山一證券 最後の12人』で2014年度講談社ノンフィクション賞受賞, 実際にリストラ部屋にいた人から、リストラの対象になった人まで含めると、50人くらいですね。, 彼らと話して感じたのは、リストラ部屋に送り込まれた人は「無能の証明」であるように思われますが、そんなことはまったくない。あるとき、ある組織が判断しただけのことなんですよ。高い技術や能力がある人もたくさんいます。彼らの多くも内部告発をしたいというわけではなく、その事実を伝えたいと思っているだけです。, また、リストラと合わせて、2013年にソニーが始めた役職定年制度により、役員にならない限り役職を解かれるようになったことも、非常に大きかったですね。, たとえば、統括部長は55歳になると、「部下を持たない管理職」になる。これでは十分な仕事ができなくなるので、優秀な人間もそれが嫌になって辞めてしまうわけです。彼らのような人材をきちんと吸収できる制度をつくれていないのは、ソニー上層部の課題です。, ソニーは柔軟な雰囲気で、それが自分に合っていると語る人が多いです。自分の好きなことだけしかやらない、身勝手な人がたくさんいることもまた魅力なのでしょう。彼らは、会社に対する憧れをずっと持ち続けていますよね。ただ、それが変わってしまったと感じているわけです。, 僕自身から見ても、ソニーは自由で都会的な印象があります。これは、トヨタ自動車と比べると、違いが際立つかもしれません。豊田市で生まれ、トヨタに就職し、そこで定年を迎える社員を見ると「人生そのもの」という村社会的な重さを感じますから。, ──ソニーのリストラは、出井さんのときから始まっています。やはり、そこがターニングポイントだと考えていますか。, それは明らかでしょう。出井さんが行った1999年の経営機構改革は、エレクトロニクス事業の収益を改善するとして、1万7000人の人員削減を発表しました。実質的なリストラは、1996年の「セカンドキャリア支援」という早期退職制度にさかのぼりますが、そこから現在に至るまで、6度も大規模な人員削減が行われています。, ──たとえば、日産のカルロス・ゴーンさんは一気にリストラをしてその後V字回復を果たしました。リストラのやり方、経営戦略としてはゴーンさんのほうが正しいと考えていますか。, 僕はリストラが良いとは思いません。ただ、ソニーの元CFOで副会長も務めた伊庭保さんをはじめ、旧経営陣はリストラについて、やむを得ないときもあるかもしれないけれど、一気にやらなければいけないと語っています。, なぜ6回も愚策を繰り返すのか。昨年で終わると言っていたけれど、新年度にずれ込んできています。社員は、これを繰り返されることによって「次は自分たちだ」と思い、やる気を失う。経営陣がすべきことは、ビジョンを示し、社員をひとつにすることです。それがバラバラになったら、長期的に見てモチベーションが上がるわけがない。, そもそも、たくさんの人を採用した挙句、何年後かに彼らをクビにするとしたら、それは経営判断のミス。自分たちの言葉で申し訳ないと語り、最低限にとどめるのが経営人のマナーです。痛みがわかっていないんだと思いますよ。, 出井さんは大いに問題があったけれど、今になってみると外に出てきて自分の言葉で語る人は、彼くらいのものです。平井さんの記者会見では制限が厳しく、質問を受けてくれない。僕が手を挙げても当てないだけじゃなくて、時間を区切って4~5人しか対応しない。, 僕は、リストラされた人の苦しみをわかっているのか、ご自身の高給をどう思っているのか、彼の口で説明してほしい。ソニーの現役社員もそう思っていますよ。まずはそこからです。, ソニーの元副社長、大曽根幸三さんが「『社風』なんて言うが、本当は『社長風』があるだけなんだよ」と言っていました。社長が変わると社風が変わるわけです。うまいことを言うなあと思いましたね。社長をはじめ、経営陣の方針によって、すべてが決まる。読売で言うと、「渡邉風」だし。ソニーも、歴代の社長を見ると、それがわかりやすく出ていると思います。, NewsPicks編集部が制作する 記事コンテンツが 全て閲覧できるようになります。, 海外メディアから 編集部が厳選した翻訳記事や The Wall Street Journal(日本版)で配信された記事を読むことが出来ます。, 出井伸之CEOの下、1999年に始まった経営機構改革以来、ほぼ切れ目なくリストラを続けてきたソニー。これまでの目標削減数の累積は約8万人に達する。リストラされて「公園居酒屋」で飲む社員、リストラ部屋に志願したエンジニア、「ヒト切り」と呼ばれる人事部員──そうしたリストラに関わった人々の人生を『切り捨てSONY』は実名で丹念に描いている。本書の著者である清武英利・元読売巨人軍球団代表にこの本に込めた思いとソニーについて聞くとともに、『切り捨てSONY』の一部を抜粋して掲載する。, NewsPicks Studios CEO/NewsPicks NewSchool校長, いま、アンケートに答えてプレミアムプランに移行すると1ヶ月無料の特典が受けられます。.

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